がんの話

イレッサは遺伝子変異に合わせた個別化医療への先駆け薬

抗がん剤
イレッサとは・・・


イレッサとは、抗がん剤の分子標的薬という種類の薬剤です。

このイレッサは、2002年に、肺がんに対する初の分子標的薬として承認されました。


イレッサは、嘔吐や脱毛を伴う厳しい闘病生活の末に亡くなる「不治の病(やまい)」というがんの印象を、「治る病」へと劇的に変化させた薬です。

なお、分子標的薬とは、がん細胞の活動に関わる特定の分子を狙い撃ちにすることで、がん細胞の増殖や浸潤、転移を阻害する効果を発揮する薬のことです。


<イレッサ>


・商品名:イレッサ錠250 250mg
・薬剤名:ゲフィチニブ(gefitinib、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬)



肺がんは約13万人が発症


肺がんは、日本国内では、毎年約13万人が新たに発症しています。

そして、この肺がんにより、毎年約8万人の方が亡くなられています。


肺がんは、早期に発見することができれば、外科的手術や放射線治療を組み合わせて、完治することも可能となっています。

しかし、肺がんの発見が遅れ、進行がんが見つかった場合、他の臓器へと転移をして、治療が極めて困難となります。


なお、肺がんは、大きく分けて、腺癌、扁平上皮がん、大細胞がん、小細胞がんのタイプがあります。

このうち、日本人の肺がん患者さんの約6割は、腺癌タイプのがんです。


イレッサは、腺癌タイプの肺がんに良く効きますが、タバコを吸ってきた患者さんの腺癌タイプには薬の効き目が悪くなっています。


イレッサが効く仕組み


イレッサは、肺がん細胞の表面にあるたんぱく質「EGFR」を攻撃します。

このEGFRというたんぱく質は、がん細胞の核に対して増殖を促す信号を出し続けています。


そのため、イレッサは、EGFRを攻撃して、EGFRの働きを抑え、がん細胞の増殖を止めて、がんを縮小させます。


なお、このイレッサという抗がん剤は、それまでの抗がん剤よりも劇的にその効果を示し、薬が効いた患者さんでは、がんがみるみるうちに縮小して、痛みや胸水などの症状もすっと引く効果を現します。

ただし、イレッサは、10人に2人程度の割合で、非常によく効く患者さんがいる一方、全く効果のない患者さんもいて、承認当時は、その理由が不明となっていました。


また、イレッサを使用した方のなかには、重症肺炎を発症して亡くなる方が全国で相次ぎ、訴訟問題にもなりました。


イレッサが良く効く理由


2004年、アメリカ(米国)の研究チームが、「イレッサはEGFRの遺伝子が変異した人に効く」との研究結果を発表しました。

それによると、イレッサは、肺がん表面にあるEGFRが遺伝子変異を起こした場合のみに、攻撃を行う性質があり、遺伝子変異を標的にしているとのことでした。


これを受けて、国内の肺がん患者さんへイレッサを投与する場合には、患者さんの遺伝子変異の有無を調べてから投与する流れができました。


なお、イレッサの新事実は、ゲノム(全遺伝情報)のデータを駆使して薬を開発する「ゲノム創薬」という新しい分野を開く契機となりました。

現在では、患者さんのがん細胞の遺伝子変異に合わせた薬を処方する「個別化医療(オーダーメイド医療)」が行われ、抗がん剤による副作用が少なくなる仕組みが導入されています。
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