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食道胃接合部がんの主因は胃酸の逆流

原因
食道胃接合部がんとは・・・


食道胃接合部がん(esophagogastric junction cancer)とは、食道と胃の噴門部との境目である接合部にできるがん(腫瘍)のことです。

近年、この食道胃接合部がんは、食生活の欧米化や肥満、加齢などの要因により、患者さんの数が増加傾向にあります。


日本食道学会や日本胃癌学会などの関係学会の調査では、2001年~2010年の間に、手術件数が倍増しています。

ただし、正確な患者数は、まだはっきりとは分かっていないのが現状です。


なお、アメリカでは、1975年~2005年までの間に、患者数が約5倍に増えていると報告されています。


因みに、食道胃接合部は、食道が横隔膜の裂孔部を通過する位置にあり、内視鏡検査で観察される食道胃粘膜接合部よりも、やや胃側(肛門側)に位置しています。

臨床では、食道胃接合部というと、主にX線画像で判断するときの重要ポイントになります。


胃酸は粘膜も溶かす


食べ物は、口から入ったあと、食道を通り、胃の中へ送られます。

そして、胃に入った食べ物は、胃酸やペプシンなどの消化液により、2~4時間ぐらい掛けてドロドロの状態にされて、腸へ送り出されます。


このとき、胃から分泌される消化液の量が多くなると、胃の粘膜自体も消化されて、消化性潰瘍が引き起こされます。

また、過剰に分泌された胃酸や消化された食べ物は、逆流しやすくなり、食道粘膜をも溶かして炎症を引き起こします。


なお、この食道の炎症は、「逆流性食道炎」と言います。


食道を守る下部食道括約筋


食道と胃は、同じ上部消化管の分類に属し、食べ物の通り道としてつながっています。

そのため、食べ物が口の方へ逆流しないように、食道には防止弁の役割を持つ括約筋が2つ存在しています。


このうち、下部食道括約筋は、胃酸や胃の内容物が食道内へ逆流するのを防ぐ働きがあります。


ただし、下部食道括約筋は、食べ過ぎや肥満による腹圧の上昇、加齢による括約筋の緩みなどによって、筋肉が緊張しにくくなり、きちんと閉まらなくなります。

すると、食道の下部に隙間が生まれ、その隙間から胃酸が逆流して、胸やけや口の中の酸っぱい感じが引き起こされやすくなります。


なお、胃がん予防のために、ピロリ菌を除去すると、胃酸分泌が増える傾向にあり、逆流性食道炎が起きやすくなります。

<下部食道括約筋の緩む要因>


・加齢
・暴飲暴食
・飲酒
・高脂肪食の食べ過ぎ
・肥満や猫背などによる胃の圧迫
・食後すぐの就寝
など



がんができると・・・


体内でがんができると、その周辺組織も硬くなります。

そのため、食道と胃の入り口付近に出来たがんは、食べ物の通過を妨げ、飲み込んだ後の違和感やつかえ感を生じさせます。


また、胸の辺りに、常に異物感が生じて、吐き気や胃の気持ち悪さなどの自覚症状を引き起こすことがあります。


因みに、バリウムによる胃透視検査では、粘膜内にとどまる腫瘍を発見することが難しくなっています。

そのため、症状がある方は、内視鏡による検査を選び、定期的に調べていくことが大切です。

<予防や早期発見のポイント>


・食べ過ぎない
・就寝前の飲食を避ける
・肉や香辛料などの胃酸を増やす食品を控える
・太り過ぎない
・胃酸を抑える薬を服用する
・自覚症状がある場合は、年1回は内視鏡検査を受ける
など



がんが粘膜にとどまる場合


がんが粘膜内にとどまっている場合、早期に発見できたことになり、早期治療が可能となります。

その場合、内視鏡による治療法が選択できます。


しかし、がんが粘膜にとどまらず、周辺組織へ浸潤していたり、周囲のリンパ節へ転移していたりする場合、手術による外科的処置が選択されます。

この場合、がんを含めて、食道や胃の一部を切除し、必要に応じて、周囲のリンパ節も摘出します。


なお、がんの進行具合によっては、抗がん剤治療を組み合わせて、がんを縮小させてから手術に踏み切ることもあります。


食道胃接合部がんのタイプ


食道胃接合部がんは、粘膜由来で発生する場合、食道粘膜に多い扁平上皮ががん化したタイプと、胃粘膜にある胃腺からがん化したタイプに分けられます。

このうち、食道側に多い扁平上皮がんタイプの場合、食道がんに準じた手術法を選択します。


一方、胃側に多い腺がんタイプの場合、胃がんに準拠した手術法を選択します。


なお、従来は、患者さんを担当する医師の専門分野の違いにより、切除範囲が異なることがありました。

このため、不必要な部位の切除をできる限り減らすために、2014年に日本食道学会と日本胃癌学会は合同調査を行い、「食道胃接合部がん(4cm以下)の治療指針」を策定しました。


現在では、食道胃接合部がんは、がんのタイプにより切除する部位を判断し、患者さんの負担が減る手術法を選択するようになっています。

<食道胃接合部がんの手術基準>


食道がん手術に準拠:扁平上皮がんで、食道側にがんが多い場合に選択(胸部・腹部の食道切除+胃上部の切除)

胃がん手術に準拠:腺がんで、食道側のがんが少ない場合に選択(下部食道の切除+胃上部の切除または下部食道の切除+胃全摘)


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