暮らし雑学

改正民法の課題や留意すべき点

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暮らし雑学◎改正民法は・・・

改正民法(かいせいみんぽう)は、高齢化社会の現実に即した形で、相続制度の見直しを行いました。

これまでの相続制度では、配偶者の住まいや生活費を確保する問題が生じていて、遺産分割を巡って、家族同士が争う「争族(そうぞく)」も度々発生しています。


2018年7月6日に成立した「改正民法」では、高齢化社会を反映した相続の仕組みへと大幅に変更が加えられました。



<改正民法の変更点>


配偶者の居住権を保護

遺産分割制度の見直し

相続人以外の貢献を考慮

遺言制度の見直し






◎改正民法の課題と留意点

改正民法は、配偶者居住権の新設や遺産分割制度の見直しなど、相続がより円滑に行われるように配慮された制度となっています。

しかし、改正民法にも課題があり、気をつけておかないといけないポイントも残されています。


<改正民法の課題と留意点>


配偶者居住権の評価額計算

配偶者居住権の売却不可

結婚20年の壁

遺言作成率の低さ

介護を押し付けられる懸念

など






◎配偶者居住権の評価額計算

配偶者居住権(はいぐうしゃきょじゅうけん)は、残された妻らが自宅に住み続けられる権利のことです。

この配偶者居住権は、改正民法により新設され、制度改正の目玉となる権利です。


ただ、実際に、配偶者居住権の評価額を算定するには、計算が複雑になってしまうという課題があります。

例えば、同年齢の夫婦が、35歳のときに自宅を新築して、夫が75歳で死亡した場合、土地と建物の合計価値が4200万円なら、配偶者居住権は、一般的に1500万円前後と評価されます。


しかし、正確に評価額を算定するには、「立地条件」や「駅からの距離」、「敷地面積」、「建物の構造」、「築年数」など、さまざまな条件を加味して計算する必要があります。

そのため、配偶者居住権の評価額を算定するのは、素人の遺族には困難となり、専門家の不動産鑑定士による評価が必要不可欠となります。




◎配偶者居住権は売却不可

配偶者居住権は、売却できない権利となっています。

そのため、残された妻が、自宅から老人ホームへ入居しようとする場合、居住権を放棄して、他の自宅所有権者から金銭を受け取る必要がでてきます。


また、自宅がバリアフリー化されていないために、住みづらくなってきた場合、居住権を手放したくても、所有権を持つ家族との合意が必要となります。

なお、配偶者居住権や所有権を巡って、家族間トラブルになった場合、家庭裁判所などの判断を仰ぐケースも出てきます。


因みに、自宅に、配偶者居住権を設定するためには、法務局で登記をしなければいけなくなっています。




◎結婚20年の壁

改正民法における相続において、婚姻期間が20年以上か未満かで、大きな差が生まれます。

例えば、結婚して20年以上が経過した夫婦の場合、生前贈与や遺言による遺贈により、自宅を遺産分割の対象から外すことができます。


しかし、結婚期間が20年に満たない場合、相続の取り分に、自宅の評価額が含まれてしまい、妻が相続できる預貯金などが減ってしまうことになります。

そもそも、この制度は、長年連れ添った妻らに報いる制度として設計されているため、婚姻期間が短い夫婦や再婚では、相続額を巡って不満が出ることが予想されています。




◎遺産分割の裁判は、増加傾向

近年、遺産分割を巡る法廷での争いは、増加傾向にあります。

2016年度の各地の家庭裁判所で処理された遺産分割件数は、1万2188件となっています。


これは、2006年度と比べて、約2割増えています。


また、2016年度の遺産分割事件において、金額別の内訳では、遺産総額1000万円以下のケースが3分の1を占めています。

そして、遺産総額が5000万円以下のケースを含めると、全体の75%を占めます。


そのため、遺産相続の争いは、億万長者のみのケースではなく、ごく身近に起こりうる争いとなっています。

なお、家族間トラブルを回避するためには、「遺言(ゆいごん)」が有効な手段となっています。


<2016年度司法統計の遺産分割事件>


1000万円以下:33%

1000万円超~5000万円以下:42%

5000万円超~1億円以下:12%

1億円超~5億円以下:7%

5億円超:1%

金額不詳など:5%






◎遺言作成率の低さ

遺産相続を円満に解決するためには、「遺言」を残すことが一番となっています。

ただし、この遺言の作成率は、大変低く、2016年に亡くなった約130万人のうち、遺言を作成した人の割合は、公正証書遺言自筆証書遺言を合わせても、10%に満たなくなっています。


日本公証人連合会によると、2016年度における公正証書遺言の作成件数は、10万5350件となっています。

また、裁判所での検認の手続きを受ける必要のある自筆証書遺言は、1万7205件の検認数となっています。


このため、年間130万人の死亡者数に対する割合は、10%(約13万件)に満たなくなっています。

政府は、改正民法に合わせて、法務局で自筆証書遺言を預かる制度を盛り込んだ新法も成立させています。


この新法では、遺言の作成を後押しするために、法務局で自筆証書遺言を預かる際に、署名や押印、最低限の形式を確認し、書類不備での無効遺言を減らすようにしています。

なお、法務局で自筆証書遺言を預かってもらうためには、本人が法務局に出向く必要があり、高齢者にとっては煩雑な手続きとなっています。




◎介護を押し付けられる懸念

改正民法では、相続人以外の親族が、介護や看病、家業の手伝いなどを長年行った場合、貢献分を相続人に請求できる権利が新設されました。

例えば、義理の父母を生前に介護していた長男の妻は、介護などの苦労に見合う分の金銭を相続人へ請求することができます。


ただし、介護の貢献分を相続に反映できるようになったことで、「遺産がもらえるから」という理由で、介護などを押し付けられてしまうのではないかという懸念が生じています。
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