皮膚

汗をかくアトピー性皮膚炎の治療

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皮膚◎アトピー性皮膚炎とは・・・

アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis)とは、痒みを伴う特徴的な湿疹が出て、良くなったり悪くなったりを繰り返す掻痒性皮膚疾患のことです。

このアトピー性皮膚炎の症状やその原因は、患者さんごとに異なります。


そのため、アトピー性皮膚炎の治療は、画一的な治療法がなく、患者さんに合わせた治療が行われています。

なお、ほとんどの患者さんで、皮膚の保湿機能を担う表皮の細胞間脂質(セラミドなど)が減少し、皮膚が過敏になったり、感染しやすくなったりしています。



<アトピー性皮膚炎の代表的な治療>


軽症:(外用薬)保湿保護薬+必要に応じてステロイド薬(全年齢マイルド以下)、(内服薬)必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬

中等症:(外用薬)保湿保護薬+ステロイド薬(2歳未満マイルド以下、2~12歳ストロング以下、13歳以上ベリーストロング以下)、(内服薬)必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬

重症:(外用薬)保湿保護薬+ステロイド薬(2歳未満ストロング以下、2~12歳ベリーストロング以下、13歳以上ベリーストロング以下)、(内服薬)必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬

最重症:(外用薬)保湿保護薬+ステロイド薬(2歳未満ストロング以下、2~12歳ベリーストロング以下、13歳以上ベリーストロング以下)、(内服薬)必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、一時的に経口ステロイド薬

※最重症は、原則として一時入院






◎アトピー性皮膚炎の治療は、根気が必要

アトピー性皮膚炎の治療には、ある程度の時間と根気が必要となっています。

また、患者さんのなかには、治療を続けているにもかかわらず、症状が年々酷くなり、夜中になると、無意識のうちに体中をかきむしってしまう方もいます。


そして、転々と医療機関を受診して、自分に合う治療法を探し求める方もいます。

なお、漢方成分が入った塗り薬を用いる「脱ステロイド療法」や、全くの無治療を続けて、症状の軽快を図り、逆に症状を悪化させてしまう方もいます。


ただし、近年では、これまでの常識とされてきた「アトピー性皮膚炎では、汗を避けるべき」という考え方が、「皮膚の発汗機能を回復して、アトピー性皮膚炎を治療する」という方向へ変わってきています。




◎汗は、悪者ではない

汗をかくことは、悪いことではなく、皮膚を保護する機能を促すことにつながります。

これは、汗が皮膚の保湿を保つ働きがあり、また、皮膚表面の雑菌を殺す役割を担っているからになります。


さらに、汗は、アレルギーを引き起こさせる物質の侵入を防ぐ作用もあります。

このため、アトピー性皮膚炎の治療においては、以前は、「汗は、痒みを引き起こすもと」と捉えられ、発汗を避ける傾向にありました。


しかし、汗をかかない生活を続けていると、汗腺そのものが萎縮して、汗をかきづらい体質になってしまいます。

すると、皮膚を守るバリア機能が弱まり、アトピー性皮膚炎の治療を続けても、皮膚そのものの自然治癒力が衰え、症状が改善してこないことになります。




◎日本皮膚科学会の診療指針でも・・・

2016年に発行された「日本皮膚科学会の診療指針」でも、アトピー性皮膚炎の治療法において、「汗」に関する項目が加えられています。

それによると、アトピー性皮膚炎の治療目標の1つに、「発汗機能の回復」が盛り込まれています。


ただし、かいた汗は、「放置せずに、洗い流すこと」が推奨されています。

これは、汗をかいたまま何もしないでおくことは、やがて、皮膚のべたつきや痒みの原因になるからになります。


<アトピー性皮膚炎のスキンケア>


(入浴やシャワーによる皮膚の清潔)
・汗や汚れは、速やかに落とします。しかし、ゴシゴシ洗いは禁物です。

・洗浄力の強い石鹸やシャンプーは使用しない。

・石鹸やシャンプーの洗い残しのないようにします。

・痒みが出るほどの高温のお湯は避けます。

・入浴後のほてりを引き起こす入浴剤や沐浴剤の使用は控えます。

・皮膚の状態に応じた洗い方をします。

・入浴後は、必要に応じて、速やかに保湿剤や保護剤を塗布します。


(外用薬による保湿や保護)
・皮膚の乾燥防止のために、保湿剤や保護剤を塗ります。

・使用感の良い保湿剤や保護剤を塗布します。

・軽微な皮膚の炎症は、保湿剤や保護剤の塗布のみで改善することがあります。


(その他の注意点)
・室内は清潔にして、適度な温度と湿度を保ちます。

・新しい肌着は、着用前に水洗いを行います。

・界面活性剤の含有量の少ない洗剤で洗濯します。

・爪を短く切り、手袋や包帯で手を保護して、掻かないようにします。

など






◎適度な保湿と通気性

アトピー性皮膚炎を治療するには、症状の重い部分にはステロイドの塗り薬を使い、症状の軽い部分には皮膚の保湿剤を塗ることが大切です。

また、皮膚の状態を良くするために、適度な保湿ができ、通気性にも優れた衣類を着用します。


なお、市販されている衣類では、このような条件に最も近いのは、体に密着するタイプのスポーツウェアになります。

アトピー性皮膚炎の患者さんが、このスポーツウェアを着用すると、適度な保湿と通気性が確保され、痒みやかきむしりを減らすことができます。




◎発汗訓練は・・・

アトピー性皮膚炎の患者さんの発汗訓練は、まずは、足湯から始めます。

38~40度前後のお湯に足を入れて、全身から汗がジワリと出てくるのを待ちます。


なお、汗腺が衰えている患者さんでは、全身から汗が出てくるまで、30分以上掛かることもあります。

しかし、足湯を1か月から数か月繰り返すうちに、汗が出てくるまでの時間が短くなり、5~10分程度まで縮まってきます。


汗が出るスピードが速くなったら、週に2、3回、軽いジョギングを行って、汗腺を鍛えるようにします。

ただし、汗の良いかき方は、アトピー性皮膚炎の患者さんそれぞれで異なります。


そのため、日本皮膚科学会認定の皮膚科専門医の指導の下、アトピー性皮膚炎の治療と発汗訓練を平行して行っていくことが大切です。
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