感染症の話

長期滞在の訪日外国人への結核検査を義務化

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感染症◎2020年までに態勢を整備

2018年5月、政府は、日本に長期滞在を予定するアジアなどからの訪日外国人に対して、渡航前に、現地の日本指定病院で行われる結核検査の受診を義務化する方針を固めました。

それによると、政府は、ビザ(査証)発給の条件として、結核に罹患していないことを証明する書類の提出を義務付けるとのことです。


政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、入国前の結核検査を導入するとしています。





◎結核とは・・・

結核(けっかく:TB:tuberculosis)とは、咳やくしゃみなどで発生する唾(つば)などの飛沫を吸入することによって、結核菌に感染して引き起こされる感染症のことです。

この結核の代表的な疾患は、肺結核(はいけっかく:pulmonary tuberculosis)で、そのほかに、結核性心膜炎や結核性髄膜炎、結核性脊椎炎(脊椎カリエス)、結核性胃炎(胃結核症)、結核性尿道炎(尿道結核)などがあります。


現在では、結核菌に効果のある薬(アミノグリコシド系の抗生物質ストレプトマイシン硫酸塩など)が開発され、結核は「死の病」ではなくなり、完治可能な病気となっています。

ただし、世界各地では、結核感染が発展途上国を中心に広がり、2016年度は、1040万人が新たに感染して、そのうち170万人の方が命を落としています。


<肺結核の特徴>


・初期症状は、風邪に類似

・咳が長引き、微熱、倦怠感が続く

・食欲がだんだんと減少

・体重も徐々に減少

・肺結核が悪化すると、血痰(けったん)や喀血(かっけつ)が現れる

など

※血痰は、痰に糸のような血が混じること
※喀血は、咳とともに鮮血を吐き出すこと






◎訪日外国人の結核発症が急増

近年、訪日外国人の数が増えるにしたがって、日本国内で結核を発症する外国人の数が急増しています。


厚生労働省によると、2016年度の結核患者さんの新規登録数は、1338人で、前年に比べて、174人増加しています。

このうち、日本で発症した外国人結核患者さんの8割は、フィリピンや中国、ベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマーの6か国出身者が占めています。


そのため、政府は、訪日前の結核検査をこの6か国を手始めに行い、その後、事前検査の対象国を拡大していく方針です。




◎現行法では・・・

現在、施行されている出入国管理法では、結核患者さんの日本への入国は認められていません。

しかし、結核の場合、あくまでも自己申告制のため、結核に罹患している訪日外国人が入国審査を通過してしまうことがあります。


また、結核の感染初期には、自覚症状がないことも多く、本人が結核に罹患していることを知らないまま、入国してしまうケースもあります。


なお、国際便が離発着する国内の空港では、風邪や体調不良の訪日外国人を見分けるために、体温を感知するサーモグラフィー検査を行っています。

ただし、結核患者さんの場合、症状が微熱程度で経過することもあり、入国審査において、結核患者さんのすべてを把握することが難しくなっています。




◎新たな運用指針では・・・

政府は、3か月を超えて滞在する予定の訪日外国人に対して、あらかじめ日本政府が指定した現地の医療機関で、エックス線検査などを受けてもらうことにしています。

そして、訪日外国人が、結核に感染していないことが分かれば、現地の医療機関に「非罹患証明書(ひりかんしょうめいしょ)」を発行してもらいます。


なお、この結核の事前検査は、留学や就労などで3か月以上、日本に滞在する予定の外国人に義務付けられる見通しです。

因みに、訪日予定の外国人が、結核に感染していた場合、現地の医療機関で治療を受け、完治したあとに、「治療を終えた証明書(完治証明書)」を提出して、ビザを発給してもらうことになります。




◎2018年度中にも、事前検査制度を導入

政府は、早ければ、2018年度中にも、訪日外国人への結核の事前検査制度を導入する予定です。

そのため、長期間の訪日を予定している外国人は、制度導入後、ビザの申請時に、結核に感染していないことを証明する必要があります。


なお、事前検査で感染が判明した場合、完治した証明書をビザ申請時に提出しない限り、ビザが発給されない見通しです。
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