暮らし雑学

スズメバチが嫌がるのは、バラの香り成分

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暮らし雑学◎スズメバチは、バラの香りが苦手

2018年3月26日、高知大学の金哲史教授(化学生態学)らの研究チームは、「スズメバチがバラやサクラなどの香りに含まれている成分を嫌う性質がある」ことを、日本応用動物昆虫学会大会で発表しました。

それによると、スズメバチは、バラなどの花の香り成分に含まれる化学物質「2‐フェニルエタノール」を極端に嫌がり、攻撃行動を行わなくなるとのことです。





◎スズメバチは、夏から秋に活発化

スズメバチは、夏から秋にかけて、その活動を活発化させます。

そのため、毎年、山菜取りや登山、紅葉(もみじ)狩りなどで、山に入る方を中心に、スズメバチに刺される被害が続出しています。


特に、攻撃性の高いオオスズメバチによる被害が多く、スズメバチに刺されて亡くなる方は、毎年20人前後に上っています。

なお、このオオスズメバチは、体長が3~4cmと、他のハチよりも体が大きく、地中に巣を作ることから、登山道やハイキングコースなどで刺されることが多くなっています。


また、都市部でよく見かけるキイロスズメバチは、家屋の軒下や屋根裏などに巣を作ります。

そのため、キイロスズメバチによる被害も多く、庭やベランダで刺されたり、洗濯物に紛れ込んだハチに刺されたりしています。




◎スズメバチにも好き嫌いがある

2013年、金教授の共同研究者で、香川大学の市川俊英名誉教授(昆虫学)が、クヌギの樹液には、スズメバチが「好き」な樹液と「嫌い」な樹液の2種類があることを発見しました。

その後、金教授が、これらの樹液を調べて、スズメバチが嫌う原因が「2‐フェニルエタノール」にあることを突き止めました。


なお、スズメバチは、この「2‐フェニルエタノール」を霧吹きで吹きかけられると、極端に嫌がり、人を刺すなどの攻撃行動をしなくなりました。




◎「2‐フェニルエタノール」は、スズメバチ撃退物質

「2‐フェニルエタノール」は、金教授の研究により、スズメバチの攻撃本能を一時的に失わせる化学物質として使えることが分かりました。

また、スズメバチは、敵を発見すると警戒ホルモンを出し、仲間を呼び集めて、集中的に攻撃する性質があります。


しかし、「2‐フェニルエタノール」には、この集まった仲間も嫌がらせる性質があり、呼び寄せられた仲間の攻撃性を失わせる効果を発揮しました。




◎スズメバチの新たな忌避剤を実用化

2016年、金教授らの研究チームは、高知大学内に、スズメバチの忌避剤を実用化すためのベンチャー企業を設立しました。

このベンチャー企業は、スプレータイプの忌避剤を開発し、その原料には、「2‐フェニルエタノール」と化学構造が似ている「ベンジルアルコール」を用いました。


なお、このベンジルアルコールは、食品添加物にも使用されている化学物質で、人体への安全性が高い物質となっています。


新しい忌避剤の使用方法は、スズメバチに遭遇したときに、ハチに向けてスプレーをするか、自分の周囲にまいて逃げる時間を稼ぐかとなっています。

1回のスプレーでは、スズメバチの攻撃本能をおよそ5分間、失わせることができるとしています。




◎新忌避剤は、他の昆虫に優しい

「ベンジルアルコール」を用いた新忌避剤は、人間に対するスズメバチの被害を予防する商品となります。

また、この新忌避剤は、スズメバチ類に特異的に作用して、即効性のある効果を発揮します。


しかし、新しい忌避剤は、ミツバチなどの他の昆虫には作用しない特徴があります。

そのため、新忌避剤は、スズメバチによる襲撃被害に特化した画期的な発明商品となっています。


なお、スズメバチは、農作物を食い荒らす害虫を食べる益虫としての側面もあります。

このため、新忌避剤は、スズメバチを殺虫剤や農薬などで駆除することもないため、自然環境の健全化にもつながっています。


因みに、金教授らの研究チームは、スズメバチが、養蜂家が育てているミツバチを全滅させないように、2018年秋頃にも「ミツバチの保護装置」の実証実験を開始する予定です。
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