脳卒中後のリハビリ効果を高める物質

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リハビリ◎リハビリ効果を高める化合物

2018年4月6日、横浜市立大学と製薬会社の富山化学工業の共同研究チームが、脳卒中後に手足などに麻痺が生じた患者さんのリハビリ効果を高める化合物を突き止めたと、アメリカ科学誌「サイエンス」で発表しました。

それによると、研究チームが、アルツハイマー型認知症の治療薬として開発中の化合物「エドネルピク・マレアート」を動物実験で投与して、その効果を確認したとのことです。


◎脳卒中とは・・・

脳卒中(のうそっちゅう:cerebral apoplexy)とは、突然起こる脳血管障害によって現れる精神・神経症状を意味する言葉です。

この脳卒中には、脳梗塞のほか、脳出血、くも膜下出血、脳動静脈奇形に伴う頭蓋内出血などが含まれます。


脳卒中を発症すると、脳の血管が破れたり詰まったりして、手足に麻痺が生じたり、言葉をうまく発せなくなったりします。


日本国内では、脳卒中は、1951年以来、30年間、国民死亡の原因疾患の第1位を占め続けていました。

しかし、現在では、脳卒中は、第1位のがん(悪性新生物)、第2位の心疾患に次いで、第3位となっています。


なお、全国の寝たきり患者さんでは、現在も、死亡原因の第1位が脳卒中となっています。


◎研究チームの動物実験

横浜市立大学と富山化学工業の共同研究チームは、動物実験において、マウスの脳の一部を壊し、その1~2日後から、化合物「エドネルピク・マレアート」を飲ませ始めました。

また、それと同時に、マウスの脚でエサを取る訓練を開始し、投与と訓練を続けました。


その結果、マウスは、脳の損傷から約50日で、損傷前と同じ動きができるまでに回復しました。

一方、この化合物の代わりに、水を飲ませたマウスや、化合物を与えても訓練をさせなかったマウスでは、後遺症が回復しませんでした。


そして、脳の一部を壊して、半身不随となったカニクイザルに、脳損傷の直後から化合物を注射し続け、約30日間の訓練を行ったところ、小さな筒からエサを指でつまんで取る細かい作業が出来るまでに回復しました。


◎脳卒中の回復に光

脳卒中後のリハビリは、脳内にあるタンパク質の働きを促す刺激となり、脳の神経回路の変化を促します。

しかし、これまでは、リハビリの効果を上げる薬は開発されていませんでした。


なお、日本国内では、毎年、約30万人が脳卒中を発症しています。


研究チームを率いる横浜市立大学の高橋琢哉教授(生理学)は、今回の実験により、「エドネルピク・マレアート」の投与とリハビリにより、脳内にあるタンパク質の働きが促され、損傷した部分の周りに新たな神経回路ができた可能性があるとしています。

また、投与と訓練の継続により、脳卒中後の脳機能の回復が期待できるとしています。


◎今後、期待されること

高橋教授は、「リハビリだけでは回復しない患者さんを対象に、臨床試験(治験)を実施したい」としています。

なお、富山化学工業によると、アルツハイマーの治療薬として行われた治験では、「エドネルピク・マレアート」は、今のところ重い副作用は出ていないとしています。


今後は、治験を通して、この非常に有望な化合物が人でも効果を上げることや、その副作用がないことなど、効果の検証や安全性の確認が求められます。
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