骨・関節・筋肉

アイソメトリックス運動法の発見

筋肉
筋肉研究の歴史


古代より、筋肉を使えば、筋肉は大きく太くなり、強くなることが知られていました。

しかし、どのようにして筋肉が太く強くなるのかが解明されてくるのは、19世紀に入り、筋肉が科学的に調べられ始めてからになります。


1887年に、イタリアにあるシエナ大学のモルプルゴ教授は、実験により、「筋肉の増強は、筋肉細胞が新たに生み出されて起きるのではなく、いまある筋肉が大きく太く成長することによって生み出される」ということを発見しました。

1905年には、W.ルー氏が「過負荷理論」の原型となる運動システムの基礎理論、すなわち、「筋肉は通常よりはるかに大きく働かせた時のみ成長する」ことを提唱しました。


1953年に、西独(当時)ドルトムントにあるマックスプランク研究所のE.A.ミューラー博士とT.ヘッティンガー博士が10数年に渡り、200回以上の実験を重ねて、アイソメトリックス(Isometrics)という新しい運動法を発表しました。


アイソメトリックス運動法


西独(当時)ドルトムントにあるマックスプランク研究所のE.A.ミューラー博士とT.ヘッティンガー博士は、1953年に、「最大筋力の3分の2の力で、6秒間のアイソメトリックス運動法を1日に1回実施するだけで、筋力が最初の水準よりも毎週5%ずつ向上していく」という実験結果を発表しました。

その後、さらに実験を重ねて、「最大筋力を5秒間ずつ、1日5~10回発揮すれば、筋力が最も向上しやすい」という実験結果も発表しました。


両博士の発表は、当時の運動生理学者やトレーニング専門家の注目を集め、この実験結果が本当に正しいのかどうか、世界中で追試験が行われました。

それらの結果は、両博士の結果が得られた実験と得られなかった実験とに別れ、後に、両博士が発表した筋力強度と時間との関係が最大効果を生み出すかどうかは、個人差によることが判明しました。


その後も世界中では、実験の検証が行われ続け、現在では、アイソメトリックス運動法は、「最大筋力の60%の力を7秒間発揮すれば、毎週4%ずつ筋力を増強させることができる」というのが定説となっています。

また、「毎週5回の運動で最適な結果が得られ、その後も毎週3~4回、運動をすることで達成された結果を保持できる」とされています。


さらに、アイソメトリックス運動法は、アイソトニックス(Isotonics)運動法を併せて行うことでより効果が得られやすいことも確認されています。

因みに、アイソトニックス運動法とは、バーベルなどを繰り返し持ち上げるなどの一般的に行われているウエイトトレーニングのことになります。
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