こころの話

パニック障害の症状とその治療法

治療
パニック障害とは・・・


パニック障害(panic disorder)とは、恐慌性障害とも呼ばれますが、突然やってくるパニック発作(不安発作や恐慌発作:panic attack)と、その発作の再発を恐れる予期不安を主な症状とする不安神経障害です。


このパニック発作は、病初期には、明らかな誘発要因はなく、予期せぬ時に、突然、息切れや動悸、めまい、発汗、胸痛などが同時に起こります。

また、その多くは呼吸困難を伴う症状が現れ、何が起こったのか分からずに、パニックに陥ります。


さらに、発作の程度が強ければ強いほど、病気や死への恐怖などに強い不安が生じます。


パニック発作は、繰り返し起こることが多く、また、慢性的に経過していきます。

パニック発作を繰り返す患者さんは、発作の再発を恐れる予期不安が強くなり、広場など、多くの人がいるところや広い場所に出ることに恐怖(広場恐怖)を感じます。


パニック障害は、健康な人でも起こりうる現象で、これまで、乳酸ソーダ点滴やCO2の吸入、過呼吸などで誘発されやすいことが分かっています。


パニック障害の治療


パニック障害の治療は、まず、患者さんに、パニック発作について、正しい認識を持ってもらうことから始まります。


パニック発作は、予期せぬときに、突然、現れるものですが、このような症状は、健康な人でも起こりうる現象になります。

また、パニック発作の症状が現れている時には、苦しく、死ぬかもしれないと思うものですが、一般に、パニック発作のみで死に至ることはなく、時間が経てば発作は必ず治まります。


パニック障害の治療目標は、パニック発作の回数や予期不安を減らすことが、その第1目標となります。

パニック障害の治療で行われるのは、主に、薬物療法精神療法になります。


パニック障害の薬物療法


パニック障害の薬物療法は、パニック障害の各種のガイドラインで、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が第1選択薬とされています。

その他には、三環系抗うつ薬や抗不安薬で、症状の発現を軽減します。

<パニック障害の代表的な処方例>

(以下の①か②のいずれかを処方)
パキシル錠(10mg):1~4錠、1日1回、夕食後または就寝前に服用
ジェイゾロフト錠(25mg):1~4錠、1日1回、夕食後または就寝前に服用



これらの薬は、効果が不十分な場合には、いずれも漸増します。

また、服用期間は、10週間程度の継続服用が必要となっています。

さらに、維持療法として服用する場合には、1年間は内服を継続することが推奨されています。


パニック障害の精神療法


パニック障害の精神療法は、認知行動療法がたいへん有効となっています。

パニック発作が起こったときの状況を分析し、どのような精神状態のときに発症したのか、また、そのとき周りにあったものは何だったのかなどを知ることで、発作を回避することにつなげていきます。


ただし、この恐怖の対象となるものへの回避が重度になると、恐怖の対象と直面する機会が減り、一見、パニック発作の頻度が減ったように感じられます。

そのため、パニック障害の治療効果を評価する場合には、特に注意が必要となります。


パニック障害の精神療法には、認知行動療法のほかにも、心理教育、呼吸コントロール、認知再構成、段階的曝露、身体感覚曝露などがあります。

これらの精神療法を組み合わせて行うことも効果があり、個人療法であれば1時間程度、グループ療法であれば2時間程度を1セッションとして、全部で7~10セッションを行います。


具体的には、「認知行動療法の効果とその方法」に載せてあります。
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