がんの話

ランダは抗がん剤のアルキル化薬

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抗がん剤
ランダはアルキル化薬


ランダは、アルキル化薬という種類の抗がん剤です。

このアルキル化薬とは、アルキル基を持っている薬剤成分のことです。


アルキル基は、がん細胞のDNAに結合して、がん細胞のDNA複製を阻害する作用を示し、がん細胞の増殖を抑えて、抗腫瘍効果を発揮します。


ランダの作用


<ランダ>


・略号:CDDP
・商品名:ランダ注10mg20ml、ランダ注25mg50ml、ランダ注50mg100ml
・薬剤名:シスプラチン(cisplatin)



シスプラチンは、白金錯化合物を用いたプラチナ製剤の抗悪性腫瘍薬になります。

シスプラチンは、DNA鎖と結合して架橋形成し、DNA合成やそれに引き続く細胞分裂を阻害して、抗がん作用を発揮します。


ランダの適応疾患とその目標


ランダの適応疾患は、次の①~③の療法に分けられます。

シスプラチン通常療法:頭頸部がん、胃がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、食道がん、睾丸腫瘍、腎盂・尿管腫瘍、膀胱がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)、悪性胸膜中皮腫

他の抗がん剤との併用療法:悪性骨腫瘍、子宮体がん(術後の化学療法、転移・再発時の化学療法)、再発・難治性悪性リンパ腫、小児悪性固形腫瘍(横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、肝芽細胞腫、その他の肝原発性悪性腫瘍、骨髄芽細胞腫など)

M-VAC療法:尿路上皮がん
M-VAC療法:メトトレキサート+ビンブラスチン+アドリアマイシン+シスプラチン


ランダの投与・使用法


ランダは、単独療法・併用療法など、様々な用量や用法で投与されています。


ランダの特徴的な副作用とその注意点


悪心・嘔吐は、発現率が90%以上の高度催吐性リスクがあります。

制吐剤適正使用ガイドラインによると、アプレピタント、5HT3(セロトニン)受容体拮抗剤、デキサメタゾンなどの制吐薬が推奨されています。

※アプレピタントの処方例:1日目125mg、2日目80mg、3日目80mg

※デキサメタゾンの処方例:1日目9.9mg注、2日目8mg内服、3日目8mg内服、4日目8mg内服、必要があれば5日目8mg内服


腎機能障害は、カルボプラチンの場合に比べてシスプラチンの方が、発現率が高くなっています。

シスプラチンの腎排泄は、糸球体濾過と尿細管分泌・再吸収が関与していて、腎排泄時の尿中プラチナ濃度を下げることが腎機能障害の予防になります。

そのため、シスプラチン投与時には、十分な補液の投与や水分補給を併せて行います。

また、尿量を確保するために、必要に応じて利尿薬も投与します。


末梢神経障害は、感覚性の神経障害が現れ、運動性神経障害は見られません。

手先や足先の痺れや痛みのほかに、口唇周囲や咽頭、喉頭にも症状が現れます。

シスプラチンの総投与量に比例して、蓄積性に末梢神経障害の発現率が高まります。

一般に、シスプラチンの総投与量が、300~500mg/m2を超えると、末梢神経障害の発現頻度が増加します。


聴力障害は、シスプラチンの1日投与量80mg/m2以上で発現頻度が高くなり、シスプラチンの総投与量300mg/m2を超えると発現頻度がさらに高まります。


そのほかには、骨髄抑制や視覚障害、脳梗塞、うっ血性心不全、プラチナに対する金属アレルギーなどが、引き起こされる可能性があります。


ランダ投与時の注意点


シスプラチンは、光に弱いために、長時間投与する場合には、遮光が必要となります。


シスプラチンとパクリタキセルとの併用療法(TP療法)の場合は、パクリタキセルを先に投与して、次にシスプラチンを投与する順番を守ります。

逆に投与してしまうと、シスプラチンによりクリアランスが低下して、パクリタキセルの排泄遅延が生じてしまいます。

その結果、パクリタキセルの血中濃度が上昇してしまい、骨髄毒性が増強される可能性があります。

また、シスプラチンとパクリタキセルの併用によって、末梢神経障害のリスクが増強する可能性もあります。


シスプラチン投与中は、血液や尿検査による腎機能モニタリングを行い、大量補液に伴う尿量増加のため、尿排泄は頻回に行うようにします。


シスプラチンは、重篤な腎障害の患者さんや、妊娠中や妊娠している可能性のある患者さん、シスプラチンや他のプラチナ製剤への過敏症をすでに発症した患者さんなどへは、禁忌になります。
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